弊社ではECサイトだけでなく、いわゆる企業HPやブランドサイトの構築なども行っています。
この企業HPというのは、実際に作ろうと思うとECサイト以上に大変です。ECサイトは、売りたい商品が魅力に思われるように作れば良いのですが、企業HPは企業が魅力的に映るように作らなければなりません。
企業を魅力的に見せるというのは、抽象度が高く、実は結構難易度が高いのです。
今回の記事では、中小企業がHPにおいてブランディングを行っていく際のメリットや、進め方についてご紹介します。
そもそもブランディングとは?
まず、そもそものブランディングとは何か?をおさらいしましょう。ブランディングというのは意味が広く、文脈によってさまざまな使われ方をします。
中小企業HPを作る際のブランディングという観点で言えば「自分たちは何者であるかを対外的にも対内的にもパワフルに定義づける」ということがブランディングの目的と言えます。
例えば、
「あの会社はイケイケだよね」
というような表現が存在します。
これだけだと、イケイケな会社は世の中にごまんと存在します。
「あの会社はイケイケで儲かってるよね」
→「あの会社はイケイケで儲かってる不動産会社だよね」
→「あの会社はイケイケで儲かってる若手が多い大手不動産会社だよね」
この辺りまで来ると、特定の社名が思い浮かぶ人も出てくるかと思います。(ちなみに某◯PEN HOUSEさんを念頭に書きました。)
おそらく、CMやSNSを通して、某◯PEN HOUSEさんに多くの人は同じイメージを持っているかと思います。
では、なぜ某◯PEN HOUSEさんはそのイメージを得ることができたのでしょう?
もちろんSNSやテレビ取材での対応など、個別の施策の結果の賜物であることは間違いありません。
では、どういう考えのもとに、そのような施策が生まれたのでしょう?
それが某◯PEN HOUSEさんのHPに記載されています。
企業理念
オープンハウスグループは、
・「お客さまが求める住まい」を愚直に追求し続けます。
・やる気のある人を広く受け入れ、結果に報いる組織を作ります。
・業績をあげ規模を拡大し、社会に必要とされる不動産会社となります。
https://openhouse-group.co.jp/company/philosophy.html
彼らはこのような企業理念を掲げているのです。
また企業憲章として以下のような文章を掲載しています。
01全てを決めるのはお客さまです
重要なのは自分がどれだけお客さまを思うかではなく、自分の行動を受けてお客さまにどう感じていただけるか。企業の存続もまた、お客さまのご支持により決まるのだと考えます。
02常に変化するニーズにこたえていきます
過去の成功体験、築いた地位やブランドに頼ることなく、常にお客さまの声に真摯に向き合うという原点を羅針盤として、地道な努力を惜しまない実直な企業を目指します。
03誠実さと情熱を持って対応します
お客さまにとって大きなライフイベントである住まいさがしのパートナーとして、社員がお客さまと真摯に向き合い、住まいに関する喜びや悩みを当事者として共感できる存在でありつづけます。
04フットワークよくスピーディに動きます
あらゆる仕事への情熱はやろうと決めたときを頂点として、時間の経過とともに色あせるもの。時間の浪費は情熱のロスを生み、コミュニケーションのロスにつながり、結果のロスに直結すると考えます。「鉄を熱いうちに打てる」人であり、組織でありつづけます。
05志の高い社員に可能性の場を提供します
表面的に平等に見えても、自分の責めによらない境遇や環境と格差には強い相関があるのが社会の本質。オープンハウスグループはそうした社会に捉われることなく、シンプルに努力しつづけた人間がいつでも何度でもチャレンジできる機会の平等を保証し、誰もが秘めている人間の可能性を引き出せる環境づくりに努めます。
06明るく前向きな組織を作ります
社員一人ひとりが明るく前向きに何事もチャレンジし、お客さまのニーズやご要望にお応えし、お客さまに喜んでいただくことにより企業が成長していきます。そして先行き不透明な右肩下がりの日本経済において、常に成長企業として社会全体に活力を与える企業を目指します。
07公正に利潤を得、納税により社会に貢献します
不正は徹底的に排除し、万人に平等に開かれたビジネス領域で正々堂々と真正面から勝負します。そして得られた利益は積極的な納税を通じて、社会に再配分されることで、機会の平等が実現される社会の創出に寄与いたします。
08革新的な総合不動産会社を目指します
お客さまに喜んでいただき、選んでいただけるマーケット・インのサービスや商品の提供を通じて、作り手に寄っている不動産のイニシアティブを、お客さまの手元に引き寄せるためのきっかけとなるような企業になりたいと考えます。
https://openhouse-group.co.jp/company/philosophy.html
これを読むと「あの会社はイケイケで儲かってる若手が多い大手不動産会社だよね」というイメージに繋がる納得感を感じませんか?
これこそが企業ブランディングの本質です。
コアとなる企業理念や企業憲章、いわゆるミッション・ビジョン・バリューを定めることで、お客様や未来の社員に対しての接し方が方向づけられ、それによって集団としての雰囲気を纏い始めるのです。
中小企業HPでブランディングをやるメリットは?
このような核となる企業理念があると、企業としてのあらゆる活動にスジが通ってきます。
特に以下の領域で顕著に効果を発揮してきます。
顧客層の変化
ほとんどのサービスは、類似サービスを行う別の競合がいます。
その競合と、価格や性能に差がなければ、結局「なんとなくこっちの方が好き」という感情的な観点から選ばれることになります。
共感できる会社に依頼をしたくなるのが、ユーザー心理です。
そうすると、企業としては自分たちの価値観に共感してくれるお客様が増えるので、これまでよりも仕事がしやすくなるなどの効果が生まれます。
採用力のUP
採用力も上がります。求職者からすれば、同じような事業をやっている会社はいくつもあるわけです。
その中で、共感できる理念を掲げた会社に入りたいと思うのは自然な流れです。
特に最近の若手求職者は、企業理念がマッチするかを重視する人が増えてきています。
採用力が低いと言われる中小企業に、理念に共感したからという理由で、優秀な人材が入社するケースは非常に多いです。
採用力UPの観点でもブランディングのメリットは非常に高いといえます。
離職率の低下
採用力UPに近い理由がありますが、離職率の低下にもブランディングは効果的です。
従業員としても、その会社で働くことに誇りを感じられるような状態になっていれば、転職してしまう可能性が少なくなります。
特に中小企業では、せっかく育てた人材が離職してしまうことは、大きな痛手となります。
ブランディングをしっかりと行うことで、離職が減る可能性がありますので、メリットは大きいといえます。
中小企業HPでのブランディングの進め方は?
ではどのようにブランディングを作り上げていけば良いのでしょうか。しっかりと納得感のあるものを作ろうとすると、なかなかに骨が折れます。まず全体像から見ていきましょう。
左側が、企業が持つ様々な要素です。
右側が、それを発信すべき対象です。
これらを結びつけるものとして、Mission-Vision-Valueがあり、企業のHPがあります。
まずは左側の要素をしっかりと洗い出すことが重要です。
この時に大事なのは、右側の発信対象については一旦考えないことです。右側は、良い理念ができてから、伝わりやすいように微修正を加える際に少し考慮する程度で問題ありません。
では、左側の要素をどのように詰めていけば良いかご紹介していきます。
経営方針
経営方針については、願望ベースで構いません。
・最終的にどのくらいの売上を作りたいのか
・何人の従業員がいる会社にしたいのか
・10年後どうなっていたいのか
こうした目標地点を明確にしましょう。
また、
・現在のビジネス上の強み・弱み
・お客様から報酬を頂ける源泉となる価値は何か
・ビジネスモデル的な強み
この辺りの情報も再整理しておくと良いです。
強みが生まれる背景には、そもそもの組織としての方向性が色濃く影響していることが多いからです。
コア
創業者の想いも非常に重要です。なぜこの事業をやろうと思い、どのように会社が生まれて、なぜ今日まで続けてきたのか、整理しましょう。
そもそも物も情報も飽和しているこの世の中で、新たに起業して会社を作るという行為自体が、エネルギーの爆発そのものなので、そのエネルギーの正体はブランディングの根幹になり得ます。
表向きに言えることだけでなく、本音ベースで色々な想いを吐き出しましょう。
現状
最後に、内部イメージと外部イメージです。
内部イメージは、従業員がどのように会社のことを認識しているかのイメージです。
従業員も、その会社に入ってきた何かしらの理由がありますし、また今の会社の雰囲気を形成する影響力を持っています。
その人たちが、会社をどのように認識しているかは、ブランディングに大きく関わるものです。
今いる従業員の考えをしっかりと聞き出して、ブランド形成に組み込むと良いです。
外部イメージは、お客様など社外の関係者からのイメージです。できればアンケートなどで聞き取りができると良いです。
まとめ
ブランディングは、目に見えないものではありますが、明文化しておくことでその企業に関わる人たちの意識に影響を与えます。
それが自ずと関係者の行動の変化に現れ、引き起きる成果も変わってくるのが面白いところです。
弊社も勢いで起業した当初から、徐々にブランディングを意識し始め、少しずつまとまってきたと感じています。
そして、時間が経つにつれ、また少しずつ変化していっていることも感じます。
組織を運営する以上、多くの関係者を同じ方向に向けることは重要ですし、ブランディングはそのためには有効な手段です。
ぜひ自社のブランディングについて考えてみてください。